鳥取県栽培漁業センター 平成14年度アカイカ資源生態調査の結果報告


平成14年度アカイカ資源生態調査の結果報告

鳥取県栽培漁業センター

@漁獲量

平成14年の鳥取全県のアカイカの漁獲量は327tとなり、平成13年の504tを大幅に下回りました。特に、昨年に比べ10月と11月に漁獲量が伸び悩んだことが目立ちます(図1)。この時期に時化の日が多く、出漁日数が少なかったことも要因の一つと考えられます。また、県中西部での漁獲量は漁期全体にわたって減少しました。

A単価

平成14年の鳥取全県のアカイカ平均単価は315円/kgで、平成13年より若干上がりました。漁獲量の少ない漁期はじめ(7〜8月)は、600円〜1400円と高値になっておりますが、漁獲量が増える9月以降は300円前後を推移しました。また、平成13年は10月、11月に250円前後まで値が下がりましたが、平成14年の10、11月は295円にとどまりました。

B標本船調査の結果

県内7名のアカイカ漁業者にご協力いただき、標本船調査(漁場、漁法、漁獲物の量、サイズの記入)を行いました(結果は別紙)。


C市場調査の結果

鳥取中央漁協において月1〜2回の割合で市場調査を行いました。漁獲物の胴長組成の推移(図3)、一隻当りの漁獲個体数と重量(図4)を調査し、アカイカの漁場への加入実態の把握を試みました。その結果は、以下の通りです。




@漁の開始期における漁獲物の胴長組成、大きく2つに分 かれた。

A9月下旬に、漁場における資源量の増加が認められた。胴長組成の推移からこの時期に大型群の加入があったものと考えられた。

B10月下旬には新たな小型群の加入が認められた。

C11月に入ると新たに加入した小型群が主群となったため、漁獲サイズが小型化し、一隻あたりの漁獲重量も低下した。

D12月には全体的な資源量が低下した。

市場調査から推定したアカイカの漁場への加入過組(図3、4を模式化)

D生物調査の結果
・胴長と体重の関係を図5に示します。



・食性:胃内容物が断片化しているため定量的な解析は行えなかったが、主食はイカ類(多分スルメイカ)でした。胃内容物中にイカ類が出現する個体の割合は、時間経過とともに低下する傾向が認められました。 (図6)
・成熟:9月や10月に漁獲された個体の中には、かなり発達した卵巣を持つ個体も見られました(図7 参考図8:アカイカの卵塊と思われるもの)。



E来年度からの新たな試みと今後の課題
第2鳥取丸による漁期前の釣獲試験→樽流し、7月〜8月上旬にかけて3回位 。



・沿岸海洋観測の強化 山陰沖冷水塊の強さや位置とアカイカの漁場への加入実態の関係を把握する